SNSをやっていると、作品を公開する時に「バズる」ことを意識する。バズったら勝ち。そしてバズるかどうかは運だ。バズらなかったら失望がやってくる。創作行為自体は、自分から湧き上がるもので、連続的なものであるのに、その一つ一つを賭博的行為に変えてしまう。
いつの間にか「初速が全て」という世界観に染まっていることに気づく。初速を得られなければその投稿は失敗だ。投稿はやり直せず、失敗できない。
口から出た言葉は取り消せない。失敗したらリセットだ。人間関係でつまづいたら、周辺から全て縁を切ってしまいたくなる。失敗は取り返せないと信じているからだ。
その細かな一つ一つの痛みが、創作行為を楽しくないものに変えていくように感じられる。
SNSは「やり直せない」世界観になってしまっている。Xの再投稿は有料。Pixivの再投稿も有料だ。そこがマネタイズポイントだ。お金を払ったとて、見せ方が自分の自由になるわけではない。投稿後のコンテンツは基本的に自分の持ち物ではなくなっている。
自分の所有している場所をつくるべきだ。そこでは、コンテンツはずっと未完成でいられる。自分の土台に積み上げられる。いつでも修正できる。そこでなら、いくらでもやり直せると信じられる。初速が全てという言葉を、心から否定するために。
だからここがある。ここには平気で作業中の漫画をアップロードしている。個人ページに人なんか滅多に来ない。そこがいいのではないか。PixivやTwitterやnoteはここのコピーであって、上流はここだ。どんなメディアをアップロードしてもいいし、カテゴリも自分で決められる。個人はいびつにできているのだから、本当の意味では更地にしか積み上げることはできない。